東北大学病院 精神科

2021.01.04

菊地紗耶助教による、出産前後の性ホルモン変化と産後うつとの関連を説明する機序を示唆する論文がDepression and Anxiety(電子版)に先行掲載されました。

菊地紗耶助教による、出産前後の性ホルモン変化と産後うつとの関連を説明する機序を示唆する下記の論文がDepression and Anxiety(電子版)に先行掲載されました。

【研究のポイント】
・妊産婦の「産後うつ」と血中の性ホルモン濃度との関連は示唆されてきましたが、そのメカニズムは明らかになっていません。
・「産後うつ」を示した母親では、妊娠中期から出産直後にかけての性ホルモン(プロゲステロン)の低下率が大きく、また、出生児の臍帯血中の性ホルモン濃度が高いことが明らかになりました。
・これらの知見より、性ホルモンをより多く産生する胎盤・胎児の分娩が、産後の母親の血中の性ホルモン濃度の大きな低下をもたらし、このことが「産後うつ」症状に寄与している可能性が示されました。

【研究概要】
妊産婦の「産後うつ」と血中の性ホルモン濃度との関連はこれまでも示唆されてきましたが、そのメカニズムは不明でした。東北大学大学院医学系研究科の菊地紗耶助教、富田博秋教授、有馬隆博教授、八重樫伸生教授、近畿大学東洋医学研究所の武田卓教授らのグループは、環境省が進めている子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)宮城ユニットセンターにおける東北大学独自の追加調査の調査参加者を対象に、出産前後の血中の性ホルモン濃度を測定し、「産後うつ」との関係を分析しました。
その結果、「産後うつ」を示した母親では、妊娠中期から出産直後にかけての性ホルモン(プロゲステロン)の低下率が大きいうえに、出生児の臍帯血中の性ホルモン濃度が高いことが明らかになりました。本研究は、産後うつと性ホルモンの関連を明らかにし、「産後うつ」の生物学的メカニズムの解明に貢献することが期待されます。
研究成果は、2021年1月4日、Depression and Anxiety(電子版)に先行掲載されました。
DOI: 10.1002/da.23134

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