東北大学病院 精神科

教室の特徴

 東北大学は、国内3番目の帝国大学として創設された東北帝国大学を祖とし、研究第一主義・門戸開放・実学尊重を3大理念に掲げています。当教室の歴史も古く、平成28年には開講100周年を迎え、その間450名を超える同窓生が籍を置いてきました。昨今の教室の歩みを振り返ると、精神病理学、脳波やてんかん、老年期精神医学、電気けいれん療法などの領域の研究が行われる中、早期精神病、児童精神医学、周産期メンタルヘルス、各種疾患に対する認知行動療法などの専門外来が設置され、実臨床に根差した臨床研究が盛んになりました。近年はさらにリエゾン精神医学や緩和医療、司法精神医学に携わる教室員が増えており、幅広い専門家が育つ土壌が整ってきています。また、東日本大震災以来、県内の自治体と大学が連携して、エビデンスに基づく精神保健を推進する体制が育成され、病院内で完結することなく、医療圏全体としての様々な取り組みがなされています。平成30年12月には富田が教授に着任したことで、新たな潮流が生じています。富田は以前から、東北大学メディカル・メガバンク機構、災害科学国際研究所で精神医学研究を広く行っており、被災地域の精神的健康の増進や、バイオセンシングやAI技術を生かした個別化精神医療技術の開発に取り組んできました。堅実に診療・研究活動に取り組み、全国に人材を輩出してきた当教室ですが、新鮮な力を得て、今後ますます精力的で多様な集団となることが期待されています。

研修プログラムの特徴

 東北大学病院精神科は1225床を有する大規模な総合病院で、うち精神科は40床です。隔離室9室、個室11室を擁し、クロザピンや電気けいれん療法(ECT)を要する重症例を含む急性期症例、身体合併症例の割合が多いですが、患者層は多様で、代表的な精神疾患を満遍なく経験できます。また、専門外来のある児童思春期、早期精神病から老年期までの様々な年齢層の症例を診療します。他科との連携が活発で、コンサルテーション・リエゾン、緩和医療、周産期医療などに携われます。さらに、認知行動療法(CBT)グループ、院内デイケアなど、幅広い治療技法に親しむ環境が整っています。精神保健指定医・精神科専門医の資格取得に関しては、必要な症例が容易に揃うだけでなく、盤石な支援体制が整備されています。病棟はスーパーバイザーを加えた3人主治医体制で、屋根瓦式の指導が行われます。
このように、非常に高いアクティビティで精緻で骨太な臨床活動が行われていますが、それを大学病院ならではの支える教育体制も充実しています。新人講義、各種の症例検討会(新入院、ECT・クロザピン導入、早期精神病、児童精神医学、CBT、リエゾン、緩和、精神鑑定)、脳波勉強会が毎週定期開催されています。院外から各分野のエキスパートを招聘しての講義も開かれます。リサーチマインドをもった精神科医を育成することも重視されています。研修期間中には、論文抄読と症例発表の指導受ける機会があり、学会発表や論文執筆を行うことも可能です。
 関連施設での研修は公的な総合病院や精神医療センター、単科精神病院など地域の主要医療機関で行います。各々の病院は、第一線で地域の精神科医療を担っており、身体合併症、精神科救急、依存症、児童思春期など病院ごとに専門病棟や強みをもっています。専攻医は、複数の機関をローテートすることで、臨床医としての総合力を向上させつつ、個人の興味や進路に副った素養を身に着けます。その後は、大学病院で研修の仕上げを行います。資格取得を目指し、専門的な新患のトレーニングを実施します。
 診療科には、東北や関東を中心に様々な出身地・出身大学の医師が集まっています。東北らしく皆穏やかで、和気藹々とした雰囲気で過ごしています。男女比はほぼ1:1で、出産・育児を迎える同僚を互いにカバーし合います。病院併設の保育所、病児保育も充実しています。病院は仙台市の中心に位置します。仙台は、東京まで新幹線で僅か1時間半ですが、自然と街とが調和した風光明媚な都市です。美味しい食事、快適な気候、スポーツや文化、安価な生活費と、素晴らしい生活環境を誇っています。

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