東北大学病院 精神科

2021.07.27

高橋雄太助教の論文「Neural network modeling of altered facial expression recognition in autism spectrum disorders based on predictive processing framework」がScientific Reports誌(電子版)に掲載され、「表情から感情を読み取る過程を神経回路モデルで再現 -自閉スペクトラム症の症状出現のメカニズム理解に期待-」のタイトルでプレスリリースを行いました。

高橋雄太助教の論文「Neural network modeling of altered facial expression recognition in autism spectrum disorders based on predictive processing framework」がScientific Reports誌(電子版)に掲載され、「表情から感情を読み取る過程を神経回路モデルで再現 -自閉スペクトラム症の症状出現のメカニズム理解に期待-」のタイトルでプレスリリースを行いました。

【発表のポイント】
生体脳を模倣した神経回路モデル注1に人間の表情変化を予測するような学習をさせたところ、自然発生的に感情ごとのカテゴリが形成されることを明らかにした。
神経回路モデルでニューロンの活動を異常に変化させるよう設定したところ、感情認識や汎化注2の変調といった自閉スペクトラム症注3に類似した症状が観察された。
神経回路モデルで精神障害の症状を再現する「計算論的精神医学」アプローチにより、自閉スペクトラム症の症状出現のメカニズム理解に貢献できることを示した。

【概要】
ヒトは表情の画像を見ることで、「悲しみ」「怒り」などの異なる感情を認知することができると考えられています。しかし、発達過程において、表情を見ただけで異なる感情をどのようにして判断できるようになるのか、その仕組みはほとんどわかっていません。
東北大学病院精神科の高橋雄太助教と東北大学大学院医学系研究科の富田博秋教授、慶應義塾大学理工学部の村田真悟専任講師、国立精神・神経医療研究センターの山下祐一室長らのグループは、ヒトの発達過程で表情から感情を認識するようになる過程と、自閉スペクトラム症を持つ人におけるその変化を、コンピュータ上で脳を再現した神経回路モデルを用いて再現することに成功しました。
本研究は、ヒトが他人の表情を目で見て学習するだけで感情の認識が可能になる過程を初めて明らかにした重要な報告です。本研究を発展させることで、ヒトが感情を認識するようになる過程や、自閉スペクトラム症の人々の認知特性についての理解を進め、感情を認識しづらい障害を持つ人に対する適切な介入方法の検討への貢献が期待されます。
本研究成果は、2021年7月26日午前10時(現地時間、日本時間7月26日午後6時)Scientific Reports誌(電子版)に掲載されました。

【論文題目】Title: Neural network modeling of altered facial expression recognition in autism spectrum disorders based on predictive processing framework Authors: Yuta Takahashi, Shingo Murata, Hayato Idei, Hiroaki Tomita, Yuichi Yamashita.
Scientific Reports
DOI: 10.1038/s41598-021-94067-x

https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2021/07/press20210727-01-emotion.html

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