東北大学病院 精神科

研究グループ紹介

神経科学・分子精神医学グループ

 当研究グループは環境要因および遺伝要因を統合的に解析することで災害に起因した精神疾患の分子病態解明を目指しています。

研究プロジェクト

1.恐怖記憶の制御機構におけるミクログリア機能解明

 PTSDモデル動物を用いてグリア細胞で産生された炎症性サイトカインTNFαが恐怖記憶の制御に関わることを同定しました (Yu et al., 2017)。ミクログリアまたはアストロサイトそれぞれ特異的なTNFα欠損マウスを作製し、様々な行動実験で検証することでグリア細胞と神経細胞のネットワークの解明を目指しています。

2.精神疾患の性差における分子機構解明と新規治療法の開発

 女性のうつ病やPTSDの罹患リスクおよび生涯有病率は男性より高いことが知られていますが、性差のメカニズムは不明であり、その一因として雌の疾患動物モデルが確立されていないことが挙げられます。当研究室は雌ストレス負荷モデルを確立し、精神疾患の性差を明らかにすることを目的として様々な解析を行っています。

3.胎生期ストレスにおける環境要因のエピゲノム解析と分子病態の解明

 胎生期の脳発達は母体のウイルス感染などの環境要因に影響を受け、成長後の統合失調症の発症率を高めることが報告されています。Linux (Ubuntu)による次世代シークエンサーの解析に着目し、DNAメチル化の世代への影響を明らかにするために子孫の中枢神経系の発達および行動変容を動物モデルおよびヒト死後脳で検証しています。

4.バイオセンシング技術を融合した災害メンタルヘルスのバイオマーカーの開発

 コホート研究で収集されたデータから精神疾患の症状評価尺度、血漿中代謝物、ウェアラブル生体モニターを用いた運動量、睡眠パターン等の情報を統合して多変量解析 (SIMCA)、構造方程式モデリング(AMOS: SEM)の構築などの人工知能技術を用いることにより、災害に起因した精神疾患のバイオマーカー予測を目指して研究を行っています。

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