東北大学病院 精神科

2021.09.10

菊地紗耶病院講師の論文「One-year trajectories of postpartum depressive symptoms and associated psychosocial factors: findings from the Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three-Generation Cohort Study」が:Journal of Affective Disorders誌(電子版)に掲載され、「産後うつは産後1年経過しても出現する ~長期的なスクリーニングやケアの体制構築の必要性~」のタイトルでプレスリリースを行いました。

菊地紗耶病院講師の論文「One-year trajectories of postpartum depressive symptoms and associated psychosocial factors: findings from the Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three-Generation Cohort Study」が:Journal of Affective Disorders誌(電子版)に掲載され、「産後うつは産後1年経過しても出現する ~長期的なスクリーニングやケアの体制構築の必要性~」のタイトルでプレスリリースを行いました。

【研究のポイント】
産後うつ注1は、通常数か月以内に発症すると言われるが、今回の研究で、長期にわたって産後うつ症状を評価したところ、産後1年のうつ症状の有病率は、産後1か月と同じだった。
産後1年にうつ症状を呈していた者のうち、約半数は産後1か月時点ではうつ症状を呈していなかった。
妊娠中の心理的不調が、産後1か月、産後1年のうつ症状と関連していた。
これらの知見により、産後1年間はうつ症状が出現する可能性に注意し、適切な時期にスクリーニングとケアを行う必要が明らかになった。

【概要】
産後うつは産後数か月以内に発症するとされ、発症に関わる心理社会的リスク因子が報告されてきました。しかし、産後1年までの経過やそれに関わる心理社会的リスク因子についての研究は不十分でした。東北大学大学院医学系研究科(兼 東北大学病院)の菊地紗耶助教、富田博秋教授、東北メディカル・メガバンク機構の栗山進一教授、小原拓准教授らのグループは、東北メディカル・メガバンク計画注2において、三世代コホート調査注3に参加した妊婦を対象として、産後1年までの産後うつの経過とそれに関わる心理社会的リスク因子を分析しました。その結果、産後1か月と同様に産後1年でも同程度の産後うつ病が出現し、産後1年にうつ症状を呈した母親のうち、約半数は産後1か月時点ではうつ症状を呈していなかったことが判明しました。本研究は、産後1年経過してもうつ症状が出現するリスクに注意し、産後直後だけでなく、より長期的な視点に立ってスクリーニングやケアの体制を構築する必要性を示唆しています。

研究成果は、2021年9月4日、Journal of Affective Disorders(電子版)に先行掲載されました。
【論文題目】Title: One-year trajectories of postpartum depressive symptoms and associated psychosocial factors: findings from the Tohoku Medical Megabank Project Birth and Three-Generation Cohort Study
Authors: Saya Kikuchi, Keiko Murakami, Taku Obara, Mami Ishikuro, Fumihiko Ueno, Aoi Noda, Tomomi Onuma, Natsuko Kobayashi, Junichi Sugawara, Masayuki Yamamoto, Nobuo Yaegashi, Shinichi Kuriyama, Hiroaki Tomita
掲載誌名:Journal of Affective Disorders
DOI: https://doi.org/10.1016/j.jad.2021.08.118

https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2021/07/press20210727-01-emotion.html

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