東北大学病院 精神科

診療案内

対象疾患と診療内容

統合失調症、気分障害(うつ病、躁うつ病)、神経症、認知症、てんかん、睡眠障害、児童思春期の精神障害など精神科領域全般にわたり広い範囲の精神疾患を取り扱っています。治療では、薬も大事ですが、十分にお話をうかがうことも重要ですので、診察時間が長くかかることもしばしばあります。一般外来の新患日は月・水・金で完全予約制となっていますので、必ず医療機関によるご予約の手続きを行っていただきますようお願いいたします。尚、専門外来については電話でお問い合わせください。以下は、当科で主に診療を行っている精神疾患と専門外来についての説明です。

統合失調症

全世界で共通してみられる、心の病気の中でも重要な病気です。この病気にかかる人の数は、約100人に1人と言われ、決して稀な病気ではありません。「正体不明の声(幻聴)」や、「周囲の出来事が自分に関係しているという悩み(関係念慮)」などが出現し、不安になり夜も眠れなくなり、精神のバランスを崩してしまいます。しっかりと治療することで、回復が促進されることが知られています。近年は、早期段階での治療が注目されており、当科では全国に先駆けて専門診療に力を入れています。

SAFEクリニック(http://safe-youthcentre.jp/) (完全予約制:月・水・金)

SAFEクリニックは、統合失調症などの精神病性障害を発症するリスクが高まった状態(こころのリスク状態、At-Risk Mental State(ARMS))にある方、特に思春期や青年期にあたる若者を主な対象として専門診療と研究活動を行っています。現在、14歳~40歳のARMSの方を募集しています。(すでに明らかな精神病症状を呈した初回エピソード精神病(First Episode Psychosis(FEP)の方の募集は行っておりません。)早期段階の方を対象としているため、原則、抗精神病薬(メジャー・トランキライザー)を使用していない方、あるいは服薬歴が6ヶ月未満の方が対象です。
こころのリスク状態の方には、専門的な詳しい評価、検査を行い、適切な診断を行います。そのうえで、必要に応じて認知行動療法の技法を用いた心理療法や薬物療法を行います。

SAFEクリニックについての詳細は、専用のホームページ(http://safe-youthcentre.jp/)をご参照ください。医療機関からの紹介の他にも、患者さんご本人やご家族さま、相談機関、学校などからの問い合せによる診察も受付ています。お問い合せは、info*safe-youthcentre.jp(*を@に変更してご使用ください)までお寄せください。診察は完全予約制となっております。

精神科デイケア

当科では統合失調症などを患っている方が利用できるデイケア(定員14)があります。
デイケアではプログラムや集団での活動を通して、生活リズムを整えたり、人との付き合いを振り返ったりしながら、メンバーの一人一人が次の目標に向かうためのサポートをしています。

気分障害(うつ病、躁うつ病)

気分の落ち込み、意欲の減退、食欲不振、不眠など、ひどい時には自殺願望を伴ううつ状態を繰り返すうつ病と、うつ状態に加えて気分が高揚し行動にまとまりがなくなったり、少しのことで腹を立ててしまったりするような躁状態とを繰り返す躁うつ病などがあります。症状が軽い時には病気に気づかないことが多いので、早めに気づくことが重要です。こちらも、副作用の少ない薬が次々に開発されています。

神経症(不安障害)

普通の人には何でもないようなことが耐え難い恐怖を呼び起こすような恐怖症、意識から振り払おうとしてもどうしても消すことができないという強迫観念を持ってしまうような強迫性障害、社会的な場面で極度に不安に陥る社交不安障害、突然に強い不安感が襲ってくるパニック障害などがあり、日常生活が著しく制限されてしまうような病気です。

こどもの精神障害

こどもにおいても、不安、気分のおちこみ(うつ)、チック障害、遺糞症や遺尿症などの排せつ障害、吃音(どもり)、緘黙(家では話すのに、学校で話せない)、学校での不適応、いじめや事故被害などのトラウマによる情緒や行動の障害などのこころの問題がおこることがあります。

こども外来(完全予約制:月)

こころの悩み、行動の問題、発達の問題やその疑いのあるお子さんの診察や治療を行っています。乳幼児期から児童期(小学生まで)の方が対象です。完全紹介予約制となり、再来も予約制となります。対象疾患や症状については、<こども外来>をご覧ください。

診療の特色

精神科病床を有する総合病院は宮城県では少ないため、当科は大半の精神疾患の治療が可能です。学会専門医の資格を持っているものがおり、また精神保健福祉法を遵守した治療および研修医への指導を行っています。
近年は、精神疾患の早期介入に取り組んでおり、特に統合失調症などの早期段階や、そのリスクが高いこころのリスク状態(at-risk mental state)についての専門診療を行っています。医師、看護師、心理士、精神保健福祉士などのチームによる専門診療によって、早期段階の診療に適した心理プログラムや心理カウンセリング、専門的な検査や評価などを行っています。2005年からは専従の臨床心理士と看護師を配備し外来デイケアを立ち上げました。特に入院された方がより早期に退院し早期に社会復帰できるように、様々なプログラムを用意して支援しています。これによって外来・入院での急性期治療から社会復帰までを一貫して大学病院で扱えるようになりました。
うつ病や不安障害については、適切な薬物療法を行うとともに、研究を目的とした認知行動療法や対人関係療法などの心理療法についても診療の一部に導入しています。
また、内科や外科などに入院中の方で精神的安定を保つためあるいは精神的に調子を崩された方に対しての「コンサルテーション・リエゾン精神医療」の需要も急増しており、コンサルテーション・リエゾンチームを編成し入院中の身体疾患をもつ方の精神障害の予防、早期発見・早期治療も積極的に行っています。
最近は児童の心の問題がクローズアップされていますが、当科でも児童思春期の精神疾患の診療グループがあり、臨床心理士も加わり心理療法などを行っています。2002年には宮城県立こども病院が開設されたこともあり児童相談所とも連携をとりながら、この地域での治療ネットワークを作りつつ、児童精神科医の育成に力を注いでいます。

年間症例数

症例数:外来

当科の外来は、外来棟3階にあります。通常は、担当する主治医の外来担当日に定期的に通院することができる患者さんが対象で、予約制を原則としています。月、水、金曜日に一般の新患を受け付けています。専門外来の新患日は、別に設定されておりますのでご確認ください。年間約1千名の新来患者、一日平均約100名の再来患者を診察しています。新来患者においては、若い世代の受診が多いですが、その他の年代も幅広く受診しています。初診時診断では神経症圏が最も多く、次いで気分障害圏、統合失調症圏と続き、その他に小児思春期精神障害、摂食障害、周産期の精神障害などの診察をしております。

症例数:病棟

当科の病棟は、西病棟13階にあり、40床を有しています。病棟は閉鎖病棟で、病気の急性期の治療や身体合併症の治療などが行われています。平均的な入院期間は1~2ヶ月です。入院患者数は年間180名程で、疾患別では統合失調症圏、気分障害圏が多いです。年齢構成は40代が多く、最近は若い世代の患者が多く入院しています。平均在院日数は約70日です。

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