医師、看護師、心理士を派遣し、主に下記のような支援を行っています。
職員に対して各年度に1回、心理的ストレスや抑うつ症状、心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状等について尋ねる項目からなる健康調査を実施しています。調査後には、職員に調査結果をフィードバックするための報告会や、関連したトピックに関する研修会もあわせて実施しており、職場のメンタルヘルスリテラシーを高める機会を提供しています。さらに、管理者に職員の現状を知らせ、管理者も巻き込んだメンタルヘルス対策を進められるよう、自治体管理者に対し各年度健康調査結果を報告する機会を持つようにしています。
調査後には、面談希望者およびハイリスク者に対してフォローアップ面接を行っています。
休職職員の復職支援制度の整備について、みやぎ心のケアセンターとともに検討を重ね、安全衛生委員会での審議を経た上で、みやぎ心のケアセンターが復職支援を行っていくという仕組みを作りました。
管理職向け、派遣職員向け、一般職員向けにそれぞれ開催しています。
例1)管理職員研修会「大規模災害後の心の変化と心のケア」
管理者が職場におけるメンタルヘルス対策に関する知識を習得することにより、自身と職員の心の健康維持をはかることを目的に実施しました(図2)。
例2)一般職員・管理職員研修会「復興期のメンタルヘルス」
職場のメンタルヘルスを良好に保つための知識と、問題解決アプローチの方法、人との結びつきとメンタルヘルスの関係などについての講話を行いました。
例3)管理職員研修会「気になる部下への対処法―ラインケアにおける管理職の役割とその実際」
ラインケアにおける管理職の役割を紹介するほか、気になる部下への対応法についてグループワークを通して事例検討をし、その結果をロールプレイして参加者で共有しました。
例4)一般職員研修会「うつ病について・働く人のうつ対策」
うつ病の一般的知識、災害とうつ病の関係について説明したのち、職員のセルフケアにつなげられるようストレス対策を具体的に紹介しています(図3)。
主に被災した病院の看護管理者の方を対象に、組織のメンタルヘルス対策について相談・助言を行っています。被災した病院の看護師は、他の医療機関に派遣されたり、離れた場所で臨床業務を行っており、環境変化によりストレスを抱えている傾向がありました。さらに勤務場所がバラバラであるため、管理者がスタッフの状況を把握することにも困難を抱えていました。そのような状況下で、スタッフのコンディションの管理をどう行っていくかについて、各病院の特色も踏まえつつ対策を話し合い、その後のフォローを行っています。
各年度に1回行っており、調査後、面談希望者およびハイリスク者に対してはフォローアップ面談を行っています。また、調査結果を職場にフィードバックし、組織的なメンタルヘルス対策について相談・助言を行っています。調査結果を現場に還元することにより、職員の派遣先に管理者が赴いて全員面談を行うなど、組織がメンタルヘルス対策を積極的に取り組むきっかけにつながっています。
健康調査後のフォローアップ面談とあわせて、適宜、管理者から心配なスタッフが生じた時に要請を受けて面談する方法をとりました。一部は業務に支障をきたすレベルの精神症状を呈していたため、医療機関への受診を促す対応をとっています。休職した職員に関しては、復職に関してタイミングや復職部署をどうするか等について、管理者の相談に応じています。
仮設住宅訪問等の在宅ケアに従事する看護師はじめとした支援者を対象に、精神的問題で支援が難しいケースについての事例検討会のスーパーバイズを行いました。グループ・ワークにてディスカッションを行い、事例に対する理解を深める機会も提供した実績があります。
宮城県内の被災地域の社協職員のメンタルヘルスの実態を把握するため、各自治体の社協において、メンタルヘルスについての健康調査を行い、この結果に基づいて、メンタルヘルスの不調を抱える社協職員に対し、精神科医療保健従事者による面談を行っています。その上で、メンタルヘルスの不調を抱える人々への支援を各自治体の社協と話し合い、実情にあった適切な支援の検討を行います。
調査票の中で、全般性心理的ストレス、抑うつ症状、PTSD症状について、社協職員自ら健康状態を把握し、セルフケアに役立てられるようにセルフチェックシートをつけています。また、調査票の配布と同時に、メンタルヘルスケアについてのパンフレットを配布し、セルフケアに努めるよう啓発を行っています。調査結果については、メンタルヘルケア対策に役立ててもらえるよう、各自治体の社協、宮城県社協にフィードバックを実施しています。震災復興定例支援会議にも出席し、宮城県や関連機関・団体にも報告を行っています。
各自治体の社協への支援も長期間にわたり、直接的な震災の影響は少なくなり、職場の問題(人間関係、体制など)、家庭の問題(家族関係、健康問題など)が、職員のメンタルヘルスに影響を与えて始めています。しかし、震災による直接的な影響とは言えないものの、震災後の業務内容の変化、業務量の増加、職場の変化により、職場の人間関係や環境が悪化したり、震災後に家庭の状況が変化し、家族の人間関係、居住環境が悪化したりと、震災後の困難な状況の中で問題が顕在化していることが、継続的な調査を行うことで明らかとなってきました。引き続き、各自治体の社協のニーズも踏まえながら、メンタルヘルスケア対する普及啓発活動を行っていきます。
本寄附講座は、みやぎ心のケアセンターと協力して、被災地へのアウトリーチ活動によってメンタルヘルスケアや研究活動などを行ってきました。一方で、みやぎ心のケアセンターは支援を中心とした活動を設立以降続けてきましたが、効果的な支援の立案や、実施した支援活動の意義や効果などを検証するためには、研究調査活動も並行して行うことが重要であると認識されるようになりました。そのため、本寄附講座が、みやぎ心のケアセンターの研究調査班と共同で研究を行い、研究活動を支援するための活動を強化する形で連携しています。
具体的には、下記のような支援を行っています。