東北大学病院 精神科

研究グループ紹介

災害精神医学研究グループ

 災害の精神医療保健の体制への被害を最小限に抑え、円滑に復旧を行うこと、被災状況を把握して必要な救援を行うこと、災害後の急性期や中・長期に災害が人々の心身に及ぼす影響を把握し有効に対応していくこと等は、災害に関して精神医学領域で取り組むべき重要な課題です。これらの課題は多様な学術領域と隣接しており、学際融合的な取り組みを行うことは有効かつ重要であると考えられます。災害精神医学研究グループでは被災自治体と共同で被災住民のメンタルヘルスの年次変化を把握し、状況変化に応じたメンタルヘルス対策を行う一方、災害後のメンタルヘルス施策に必要な情報の集積を行なってきているほか、災害メンタルヘルスに関する備えた対応のあり方につき、様々な調査・研究を行なっています。
 また、東日本大震災後10年という節目を翌年に控えた今、私たちは新型コロナウイルス感染症による特殊災害に見舞われています。これは、これまで経験したいかなる自然災害よりも甚大な社会的混乱を引き起こし得る、未曾有の公衆衛生上の危機であり、今後長期にわたって様々なメンタルへルスの問題を生むことが懸念されています。このメンタルヘルス危機に対しては従来の精神医療の体制や方法論では対応が困難と考えられ、いわゆる「With/Postコロナ」の社会におけるニューノーマルなメンタルヘルス対策システムが求められます。災害大国である我が国の経験を活かし、世界に先駆けて対策システムを創出するには、 ニューノーマル時代の脳科学やAI技術を活用した科学的エビデンスに基づくメンタルヘルス対策の実現が不可欠であり、それに寄与することが災害精神医学の使命と考えます。

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