研究グループ紹介
災害精神医学研究グループ
●災害の精神医療保健の体制への被害を最小限に抑え、円滑に復旧を行うこと、被災状況を把握して必要な救援を行うこと、災害後の急性期や中・長期に災害が人々の心身に及ぼす影響を把握し有効に対応していくこと等は、災害に関して精神医学領域で取り組むべき重要な課題です。これらの課題は多様な学術領域と隣接しており、学際融合的な取り組みを行うことは有効かつ重要であると考えられます。災害精神医学研究グループでは被災自治体と共同で被災住民のメンタルヘルスの年次変化を把握し、状況変化に応じたメンタルヘルス対策を行う一方、災害後のメンタルヘルス施策に必要な情報の集積を行なってきているほか、災害メンタルヘルスに関する備えた対応のあり方につき、様々な調査・研究を行なっています。 直近では、実際の支援活動に基づき、令和6年能登半島地震における急性期のメンタルヘルス支援ニーズの解析を行いました。
●また、コロナ禍においては、国内のメンタルヘルス対策を主導する複数の指針を策定し、メンタルヘルスの実態を調査する研究報告も複数行いました。最近では、災害医療情報学分野などとの連携し、SNS情報を利用した被災地や戦地でのリアルタイムでのメンタルヘルス実態予測の研究やパンデミック禍などの社会ストレス状況下での自殺者数予測を可能にするシステムの開発研究、ウクライナにおけるカウンターパートと共同した調査を通した国際連携に着手しています。さらに、心的外傷後ストレス障害をはじめ、これまでに引き続いて統合失調症や双極性障害などの死後脳研究を中心とした精神疾患病態解明のための基礎的な生物学的研究も並行して注力しており、多くの成果を上げています。


